はじめに
PINARELLO DOGMA F──それは、単なるエアロロードではない。ワールドツアーで数々の勝利を重ね、イネオス・グレナディアーズのライダーたちが駆るこのバイクは、卓越した剛性、先進的なエアロダイナミクス、そしてレース向けのジオメトリを兼ね備えた究極のオールラウンドマシンである。
スプリント、ヒルクライム、クリテリウム、ロングライドと、あらゆるシチュエーションに対応できるが、その真価を最大限に発揮できるライダーは限られる。
本記事では、PINARELLO DOGMA Fがプロレベルのライダーに選ばれる理由を、数値データや比較分析を交えながら解説し、どのようなライディングスタイルの選手がこのバイクのポテンシャルを引き出せるのかを考察する。

1. PINARELLO DOGMA Fの特徴
PINARELLO DOGMA Fは、イネオス・グレナディアーズの選手たちと共同開発され、プロレースにおける実戦データをフィードバックしながら設計された。その主要な特徴を以下にまとめる。


特徴 | 詳細 |
---|---|
フレーム素材 | Torayca T1100 1K カーボン(ナノアロイテクノロジー採用) |
重量 | フレーム単体:約865g(サイズ未公開) |
BB規格 | Italian Threaded(ITA)BB |
エアロ性能 | 風洞実験に基づいたONDAフォーク、ダウンチューブ形状最適化 |
ブレーキ | ディスクブレーキ仕様 |
ジオメトリ | アグレッシブなレーシングポジション、短めのホイールベース |
剛性 | BB周りのねじれ剛性を前作比で12%向上、剛性対重量比も大幅改善 |
適合タイヤ幅 | 最大28mm |
2. 剛性とパワー伝達性能
PINARELLO DOGMA Fのフレーム剛性は、特にBB周りで大幅に向上している。これはパワーロスを最小限に抑え、ライダーの入力をダイレクトに推進力へ変換する。


BB剛性と剛性対重量比(STW値)
テストデータによるとPINARELLO DOGMA FのBB剛性は、
- 前作DOGMA F12比で12%向上
- ペダルからの入力に対する応答性が飛躍的に向上
- ねじれ剛性が高く、スプリント時のロスが極めて少ない
この剛性特性により、特に瞬発的なトルクを求めるスプリンターやパンチャーに最適なエアロロード最強クラスのバイクとなっている。
3. エアロダイナミクス:CdA(空気抵抗係数)の進化
PINARELLO DOGMA Fは、風洞実験とCFD(数値流体力学)解析を通じて、エアロダイナミクスを大幅に向上させている。テスト結果では、
- PINARELLO DOGMA Fは前作よりも4.8%の空気抵抗低減
- ONDAフォークが乱流を抑制し、フロントエンドの安定性を向上
- 新形状のダウンチューブとシートチューブにより、横風耐性も強化

これにより、高速巡航時のワット数削減効果があり、40km/h以上の巡航速度域での優位性が顕著となる。
4. DOGMA Fの評価シート
項目 | ⭐️評価(5段階) | コメント |
ハンドリング | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ | 高速域でも安定したコントロール性を維持しつつ、クイックな応答性も兼ね備える。テクニカルなダウンヒルやタイトなコーナリングでも優れた操縦性を発揮。 |
振動吸収性 | ⭐️⭐️⭐️⭐️ | 高剛性フレームながら、カーボンレイアップの最適化により長時間のライドでも快適性を確保。ただし、石畳やラフロードでは若干の硬さを感じる。 |
反応性 | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ | スプリント時のダイレクトな応答性が際立ち、ペダルを踏み込んだ瞬間にバイクが前に進む感覚を得られる。プロレースでも証明された卓越した反応性。 |
ペダリング効率 | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ | 剛性対重量比が高く、入力したパワーを余すことなく推進力に変換。BB周りの剛性強化により、特にダンシング時のパワーロスが少ない。 |
ダウンヒル安定性 | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ | 長めのホイールベースと最適化されたヘッドアングルにより、高速ダウンヒル時の安定性は非常に高い。風の影響を受けにくく、コーナリングの精度も抜群。 |
5.PINARELLO DOGMA Fを最大限活かせるライダーとは?


PINARELLO DOGMA Fは、プロツアーの舞台で鍛え上げられた究極のオールラウンド・エアロロードバイクだ。優れた剛性、高いエアロダイナミクス、そして軽量性を兼ね備え、スプリント、ヒルクライム、クリテリウム、ロングライドまで幅広いシチュエーションに対応する。しかし、このバイクのポテンシャルを最大限引き出せるライダーは限られる。
本記事では、DOGMA Fが最適なライダー像を技術的視点から分析し、どのようなライディングスタイルの選手が最大の恩恵を受けられるのかを考察する。
6. 高出力を維持できるパワーライダー
DOGMA FはT1100 1Kカーボンファイバーを採用し、剛性と軽量性を高次元で両立。特にBB周りの剛性強化とBB86規格の採用により、大トルクをダイレクトに伝達できる設計となっている。


剛性・パワートランスファーの特徴
項目 | DOGMA Fの特徴 | 影響 |
---|---|---|
カーボン素材 | T1100 1K(破断強度5900 MPa) | 高剛性・軽量化 |
BB規格 | BB86 | トルク伝達効率向上 |
ヘッド剛性 | TiCR(ケーブル内装) | スプリント時の安定性向上 |
スプリント時に1000W以上、FTP 300W超のライダーであれば、この剛性を活かしてダイレクトな加速性能を得ることができる。
➡ DOGMA Fは、高トルク・高出力のライダーに最適なマシンである。
7. クリテリウムやロードレース志向のライダー
DOGMA Fは、高速域での安定性とシャープなハンドリングを両立し、アグレッシブなレースでの操作性を考慮したジオメトリーを採用。
ジオメトリーとハンドリング性能
項目 | DOGMA Fの特徴 | 影響 |
ヘッド角 | 73.5°(サイズ53) | 俊敏なコーナリング性能 |
トレイル値 | 57mm(サイズ53) | 高速域での直進安定性 |
ホイールベース | 980mm(サイズ53) | コーナーでの反応性向上 |
クリテリウムやロードレースで頻発する立ち上がり加速にも対応しやすく、無駄なく推進力に変換される。
➡ DOGMA Fは、アタックやハイスピードレースでアドバンテージを得たいライダー向きである。
8. 高速巡航を求めるロングライダー
DOGMA Fのフレームはエアロダイナミクスを最適化して設計され、特に長距離ライドにおける巡航速度の維持に優れる。

空力性能のポイント
項目 | DOGMA Fの特徴 | 影響 |
フレーム形状 | ボトルと一体化したダウンチューブ | 空気抵抗削減 |
ケーブル内装 | TiCRシステム | フロントエリアのCdA低減 |
ホイール適合 | リムハイト45mm以上が最適 | 巡航時のエアロ効果増大 |
100km以上のロングライドでは、ワットあたりの速度(W/kg)を最適化できるライダーがDOGMA Fのエアロ性能の恩恵を最大限受けられる。
➡ DOGMA Fは、スピードを維持し続けるロングライダーに最適である。
9. ヒルクライムも戦えるオールラウンダー
一般的にエアロロードはヒルクライムに不向きとされるが、DOGMA Fは軽量性と剛性のバランスが優れ、登坂性能も非常に高い。

ヒルクライム性能のポイント
項目 | DOGMA Fの特徴 | 影響 |
フレーム重量 | 865g(サイズ53、未塗装) | エアロロードとして最軽量クラス |
剛性重量比(STW) | 高水準 | ダンシング時のレスポンス向上 |
空力最適化 | ポジション維持が容易 | 低ワットでの登坂が可能 |
ヒルクライムでもエアロポジションを維持しながら、ワットあたりの登坂効率を最大化できるライダーならDOGMA Fの強みを活かせる。
➡ DOGMA Fは、登りも平坦も戦えるオールラウンダーにとって理想的なバイクである。
10. バイクコントロールに優れたライダー
DOGMA Fはプロライダー向けの設計であり、高速域でのコントロール性に優れる一方、ピーキーな挙動を持つ。
バイクコントロールの重要性
項目 | DOGMA Fの特徴 | 影響 |
ダウンヒル特性 | 剛性が高くレスポンスが鋭い | 高速域での安定性 |
アタック性能 | 剛性が高いためパワー伝達が直結 | 一気にスピードを乗せられる |
エアロポジション | 最適化されているが維持には慣れが必要 | バイクスキルが問われる |
ダウンヒル時や高速域でのコーナリングでは、ライダーのコントロール技術が試される場面が多くなる。
➡ DOGMA Fは、バイクスキルに自信のあるライダー向けのマシンである。
結論:DOGMA Fは「速さ」を求めるライダー向けの究極のマシン
PINARELLO DOGMA Fは、剛性・エアロ・軽量性のバランスを極限まで高めたプロ仕様のオールラウンダーである。スプリントやヒルクライム、高速巡航といったあらゆる局面で高い性能を発揮し、レースシーンで実証された実力を持つ。
DOGMA Fを最大限活かせるライダー
✅高出力を維持でき、レース志向のライダー
✅高速巡航とヒルクライムを両立したいライダー
✅バイクコントロール技術に優れ、あらゆる局面で自在に扱えるライダー
➡ DOGMA Fは、“速く走るためのスキルを持つライダー”のためのバイクである。
PINARELLO DOGMA Fは「究極のエアロロード」
✅剛性対重量比に優れ、スプリント・ヒルクライム・高速巡航をすべて高次元で両立 ✔ レースで培われた圧倒的な実力と汎用性
まさに「プロのために作られたバイク」であり、その性能を最大限に引き出せるライダーにとって、DOGMA Fは究極の選択肢となる。









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