Winspace G5は、従来モデル「G3」の後継として登場した、Winspaceのフラッグシップ・グラベルバイクだ。
ロードモデル「T1600 Ultra」の設計思想を取り入れたエアロフレームに、フロント58C・リア53Cのタイヤクリアランス、SRAM Rival XPLR AXSの1×13速、T47ボトムブラケット、UDH、フレーム内収納を組み合わせている。
今回確認した完成車はLサイズ。実測重量はペダル込みで8.88kg、価格は標準仕様が5,200ドル、D45 Grypher 2.0ホイールへのアップグレードを含む仕様が5,400ドルである。
本記事では、カタログスペックを並べるだけでなく、各設計が実走性能へどのように影響するのかを検証する。特に注目したいのは、次の3点だ。
- エアロ設計とワイドタイヤを本当に両立できているか
- 44T×10-46Tの13速構成が、どのような路面に適しているか
- 5,200~5,400ドルという価格に見合う完成度があるか
結論を先に述べると、G5は高速グラベルや舗装区間の長いレースに適した一台である。ただし、チェーンリング表記の食い違いやブレーキ調整など、購入前後に確認すべき点も残されている。
ロードバイク、クロスバイクなどスポーツ自転車をお探しなら!【ワイズロードオンライン】- Winspace G5の主要スペック
- G3後継モデルが目指す「高速グラベル」
- 価格は高いが、注文時の自由度は大きい
- ペダル込み8.88kgをどう評価するか
- カーボングレードより積層設計が重要
- 高めのBBはペダルヒットに強い
- 前58C・後53Cのタイヤクリアランス
- チューブレス化は優先度の高い変更
- Rival XPLR AXS 13速のギアレンジ
- 165mm Rivalクランクは合理的な選択
- チェーンリングの適合条件は購入前に確認したい
- T47とUDHが高める整備性
- Grypher 2.0への200ドル追加は魅力的
- 前後160mmローターと実車の擦れ
- 38cmハンドルと115mmステムの狙い
- サドルは重量よりフィットを優先
- フレーム内収納の実用性
- 納車後に行うべき点検と調整
- メリットと注意点
- Winspace G5が向いているライダー
- まとめ|セットアップによって完成度が高まる一台
Winspace G5の主要スペック

まず、今回確認できた仕様を整理する。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| モデル | Winspace G5 |
| フレーム | T1100/T800カーボン |
| 実車サイズ | L |
| 実測重量 | 8.88kg |
| ドライブトレイン | SRAM Rival XPLR AXS |
| 変速段数 | 1×13速 |
| カセット | 10-46T |
| 実車チェーンリング | 44T |
| スペック表のチェーンリング | 42T |
| クランク長 | 165mm |
| タイヤ | Michelin Power 700×40C |
| 最大タイヤ幅 | 前58C/後53C |
| ブレーキローター | 前後160mm |
| BB規格 | T47ねじ切り式 |
| リアハンガー | UDH対応 |
| ホイール | D45 Grypher 2.0 |
| リムハイト | 45mm |
| リム内幅 | 約32mm※ |
| リム外幅 | 約38mm※ |
| 価格 | 5,200ドル |
| ホイール変更時 | 5,400ドル |
※リム幅はレビュー内でも不確かな数値として扱われているため、購入時にはメーカーまたは販売元への確認が必要だ。
G3後継モデルが目指す「高速グラベル」

G5の特徴は、グラベルバイクとしての走破性を維持しながら、ロードバイクに近い巡航性能を追求した点にある。
一般的なグラベルバイクでは、安定性、タイヤ容量、振動吸収性が優先される。一方、G5はフォークやダウンチューブなどに空力を意識した形状を採用している。T1600 Ultraとの視覚的な共通性もあり、低速のテクニカルセクションより、高速で走れる未舗装路や舗装路との混合コースを重視した設計と考えられる。
空気抵抗は、おおむね次の式で表される。
ここで、は空気密度、は抗力係数と前面投影面積の積、は速度である。空気抵抗に打ち勝つための出力は速度の約3乗に比例して増えるため、30km/hを超える高速域では小さな空力差も無視できない。
もちろん、外観がエアロであることと、実際に空気抵抗が小さいことは同じではない。性能を断定するには、タイヤやボトルを装着した状態での風洞試験、あるいは一定出力による実走比較が必要だ。
現時点では、「空力低減を意図した設計」と評価するのが適切であり、競合車に対する具体的な優位性までは判断できない。
価格は高いが、注文時の自由度は大きい

SRAM Rival XPLR AXS完成車の価格は5,200ドル。Grypher 2.0ホイールへのアップグレードを選ぶと5,400ドルになる。
絶対額としては高価だが、電子変速コンポーネント、カーボンホイール、専用コックピット、フレーム内収納を含む完成車として評価する必要がある。
注文時には、以下の項目を選択できる。
- ハンドル幅
- ステム長
- クランク長
- ホイールグレード
- ライザーバー
- 一体型または分離型コックピット
- SRAM Rival XPLRまたはShimano GRX
完成車では、購入後にハンドルやステムを交換すると、部品代だけでなくブレーキホースの再施工が必要になる場合がある。最初から適正な幅と長さを指定できることは、実質的な導入コストの削減につながる。
特に今回の38cmハンドル、115mmステム、165mmクランクという組み合わせは、標準的なグラベル完成車よりも高速走行を意識した構成だ。
ただし、価格を比較する際は、保証期間、国内サポート、補修部品の供給、送料や税金も確認したい。直販系ブランドは同価格帯の大手メーカーより高いパーツ構成を実現しやすい一方、販売店を通じた調整や保証対応には差が生じる可能性がある。
ペダル込み8.88kgをどう評価するか

今回の実測重量は8.88kgだった。測定条件は次のとおりである。
- Lサイズ
- ペダルあり
- ボトルケージなし
- パワーメーターなし
- アウトフロントマウントなし
- フレーム収納バッグあり
- 700×40Cタイヤ
- ブチルチューブ装着
8.88kgは、超軽量グラベルバイクと呼べる数値ではない。しかし、45mmハイトのホイール、13速電子変速、油圧ディスクブレーキ、フレーム内収納、ペダルを含む実走に近い状態としては十分に軽い。
重量を比較する際は、メーカー公称値の測定条件に注意が必要だ。フレームサイズ、塗装、タイヤ、シーラント、ペダルの有無によって、完成車重量は数百グラム変化する。
また、グラベルでは車体重量だけでなく、以下の要素が走行感に大きく影響する。
- タイヤのケーシング
- チューブの有無
- 空気圧
- ホイール外周部の質量
- ホイール剛性
- 路面追従性
例えば、クランクを軽量化して100~200g削減するより、ブチルチューブを外してタイヤと空気圧を最適化した方が、荒れた路面での速度維持やグリップに大きな効果が出る可能性がある。
G5の8.88kgは完成値というより、実用性を残しながらさらに調整できる出発点と見るべきだろう。
カーボングレードより積層設計が重要

G5のフレームには、T1100とT800のカーボンが組み合わされている。
高弾性カーボンは、少ない材料で必要な剛性を得やすい。一方、フレームの性能は繊維の名称だけでは決まらない。実際の剛性、強度、耐衝撃性、振動減衰性は、積層方向、樹脂、肉厚、成形精度、断面形状によって変化する。
グラベルバイクでは、ペダリング時の剛性だけでなく、飛び石、転倒、ねじれを伴う入力に耐える必要がある。そのため、特性の異なるT1100とT800を部位に応じて使い分ける設計には合理性がある。
ただし、素材名だけから「軽い」「硬い」「快適」と判断することはできない。最終的には、実測重量、ペダリング時の変形、路面からの入力、長期耐久性を総合的に見る必要がある。
高めのBBはペダルヒットに強い

G5では、ボトムブラケット周辺が比較的高く設計されている。
BBハイトを高くすると、岩、段差、深い轍でのペダルヒットを防ぎやすい。ペダリングを止めずに登る必要があるテクニカルセクションでは、明確な利点になる。
一方で、BBが高くなるとライダーを含めた重心も上昇するため、低重心のバイクとはコーナリング時の感覚が異なる可能性がある。
さらに、40Cから2.35インチ前後のタイヤへ変更すると、タイヤ外径の増加によって実効的なBBハイトが上がる。仮にタイヤ半径が10mm増えれば、BBも路面に対して概ね10mm高くなる。
太いタイヤを装着する際は、クリアランスだけでなく、以下の変化にも注目したい。
- BBハイト
- スタンドオーバー
- トレイル
- 前後の荷重バランス
- コーナリング時の重心感覚
G5のワイドタイヤ対応力を正しく評価するには、「何mm幅まで入るか」だけでなく、装着後のジオメトリー変化まで確認する必要がある。
前58C・後53Cのタイヤクリアランス

公称タイヤクリアランスは、フロント58C、リア53C。700Cホイールを採用する高速グラベルバイクとしては非常に広い。
フロントへ大容量タイヤを装着すると、衝撃吸収、コーナリンググリップ、制動時の安定性を高められる。リアをフロントより細くすれば、チェーンステーやチェーンリングとの間隔を確保しながら、転がり抵抗とトラクションのバランスを調整できる。
ただし、公称タイヤ幅と装着後の実測幅は一致しない。
実測幅に影響する要因
| 要因 | 主な影響 |
|---|---|
| リム内幅 | 広いほどタイヤも太くなりやすい |
| ケーシング | しなやかな構造ほど膨らみ方が変わる |
| 空気圧 | 高圧になるほど幅がわずかに増える場合がある |
| チューブレス化 | ケーシングがなじむと幅が変化する |
| 製造公差 | 同じ表記でも個体差がある |
| 使用期間 | 装着後にケーシングが伸びる場合がある |
Grypher 2.0のリム内幅が約32mmなら、700×40Cタイヤでも、狭いリムに装着した場合より実測幅が広がる可能性がある。
必要なのは、静止状態でタイヤがフレーム内に収まることだけではない。ホイールの横たわみ、泥、小石、タイヤの振れを考慮した動的クリアランスを残す必要がある。
今後予定されている29×2.35、29×2.4、リア29×2.1の装着テストでは、次の項目を測定すると有益だ。
- 装着直後と24時間後のタイヤ実測幅
- タイヤ外径
- フォーク左右およびクラウン部の最小間隔
- チェーンステーとシートステーの最小間隔
- 泥詰まりを想定した余裕
- 前後タイヤ外径差による車体姿勢の変化
「装着できる」と「競技や悪路で安全に使える」は別の判断である。
チューブレス化は優先度の高い変更

純正のMichelin Power 700×40Cはチューブレスレディだが、完成車ではブチルチューブが使われている。
ブチルチューブには、空気保持性、扱いやすさ、初期セットアップの確実性という利点がある。一方、低圧運用ではリム打ちによるパンクが発生しやすく、タイヤとチューブ間の摩擦による損失も生じる。
チューブレス化によって期待できる主な効果は次のとおりだ。
- 低圧化による接地性の向上
- 微細な凹凸への追従
- ピンチフラットの抑制
- シーラントによる小穴の自己修復
- 荒れた路面での転がり抵抗低減
グラベルでは、タイヤを高圧にして変形を抑えるより、適正な低圧で路面に追従させた方が速い場合が多い。タイヤが跳ねると、車体とライダーが上下動し、その運動自体がエネルギー損失になるためだ。
ただし、適正空気圧はライダー体重、前後荷重、タイヤ実測幅、路面、リム形状によって異なる。タイヤとホイール双方の指定範囲を守り、前後別に調整する必要がある。
Rival XPLR AXS 13速のギアレンジ

今回の完成車は、SRAM Rival XPLR AXSの1×13速、10-46Tカセットを採用している。
実車には44Tチェーンリングが付いていたが、スペック表では42Tと記載されている。この2Tの違いは小さく見えるものの、全ギアの速度と登坂性能に約4.8%の差を生む。
ギア比の比較
| 構成 | ギア比 | 44T仕様との差 |
|---|---|---|
| 44×10T | 4.40 | 基準 |
| 44×46T | 0.96 | 基準 |
| 42×10T | 4.20 | 約4.5%低い |
| 42×46T | 0.91 | 約4.5%軽い |
カセットレンジは、次の計算から460%となる。
44T仕様は、舗装路と高速グラベルを重視した構成だ。トップの44×10Tは高速巡航や下りで十分なギアを確保できる。一方、ロー側の44×46Tはギア比0.96で、1対1よりわずかに重い。
700×40C、ケイデンス90rpmでの速度目安
タイヤ周長を約2.20mと仮定すると、速度は次式で概算できる。
| 組み合わせ | 90rpm時の速度目安 |
|---|---|
| 44×10T | 約52.3km/h |
| 44×46T | 約11.4km/h |
| 42×10T | 約49.9km/h |
| 42×46T | 約10.8km/h |
※タイヤ実測外径や荷重による変形で数値は変動する。
44Tは高速域に余裕を持たせられる反面、急勾配、柔らかい路面、バイクパッキングではローギアが不足する可能性がある。42Tに変更すれば最高速側を約4.5%下げる代わりに、登坂側も同程度軽くなる。
用途別に整理すると、次のようになる。
| 主な用途 | チェーンリングの考え方 |
|---|---|
| 舗装路・高速グラベル | 44Tが有力 |
| 速度と登坂のバランス | 42Tが扱いやすい |
| 急勾配・積載走行 | 42T以下を検討 |
| 平坦中心の高速レース | 44T以上も候補 |
13速化の利点は、ワイドレンジだけではない。中間ギアの歯数差を抑えられれば、巡航中の変速でケイデンスが急変しにくくなる。一定出力を維持する高速グラベルでは、段数の多さがペーシングのしやすさにつながる。
165mm Rivalクランクは合理的な選択
RivalクランクはForceのカーボンクランクより重いものの、耐久性と交換コストでは有利だ。岩や飛び石、転倒のリスクがあるグラベル用途では、軽量化だけを理由に交換する必要はない。
今回選択された165mmというクランク長にも意味がある。
短いクランクは、上死点での股関節屈曲を抑えやすく、深い前傾姿勢でも脚を動かす空間を確保しやすい。ペダルの軌道半径も小さくなるため、ペダルクリアランスの確保にも有利だ。
一方、同じ踏力で発生するクランクトルクは、長いクランクより小さくなる。実際にはギア比やケイデンスで補うため、短いクランクが直ちに登坂力の低下を意味するわけではない。
Forceカーボンクランクへの交換は軽量化策として成立するが、費用対効果を考えれば、タイヤ、空気圧、ポジションの最適化を優先した方がよい。
チェーンリングの適合条件は購入前に確認したい
1×構成では約50~52T、2×構成では約52~54Tまで対応すると説明されている。ただし、オフセット、クランク、BB、スペーサーによって条件が変わり、レビュー内でも確定情報とはされていない。
「フレームへ物理的に装着できること」と「適切なチェーンラインで使用できること」は別問題だ。
適合性を左右する要素には、以下がある。
- クランクのチェーンライン
- チェーンリングのオフセット
- BBスピンドル長
- スペーサー構成
- チェーンステーとの間隔
- カセットとの位置関係
- フロントディレイラーの対応範囲
チェーンリングを外側へ逃がし過ぎると、ローギア使用時のチェーン角度が大きくなり、摩耗、騒音、駆動効率に影響する。2×化では、フロントディレイラー台座の有無に加え、アウターリングとチェーンステーの距離、FDの取付高さ、対応歯数差も確認しなければならない。
購入前には、次の情報を書面で確認するのが安全だ。
- 納車時のチェーンリング歯数
- 保証される最大歯数
- 対応オフセットとチェーンライン
- 2×化に必要なスペーサー
- 対応クランクとフロントディレイラー
T47とUDHが高める整備性
G5は、アウトボード型のT47ねじ切りボトムブラケットを採用している。
T47は、大径スピンドルへの対応力と、ねじ切り式の整備性を組み合わせた規格だ。泥や水にさらされ、ベアリング交換の可能性が高いグラベルバイクでは、取り外しや交換を行いやすい点が利点になる。
ただし、T47であれば必ず高剛性で異音が出ないわけではない。フレーム側のねじ精度、左右シェルの同軸度、取付トルク、BB本体の品質によって結果は変わる。
リアエンドはUDHに対応する。転倒などでディレイラーハンガーを損傷した際、独自形状より交換部品を入手しやすい。遠征時に予備を携帯しやすく、将来的なドライブトレイン変更にも対応しやすい点は、長期運用における強みだ。
Grypher 2.0への200ドル追加は魅力的
アップグレード仕様のD45 Grypher 2.0は、45mmハイトのリム、カーボンスポーク、スチールベアリング、フックド構造を採用している。
| 項目 | Grypher 2.0 |
|---|---|
| リムハイト | 45mm |
| スポーク | カーボン |
| ベアリング | スチール |
| ビード形状 | フックド |
| 内幅 | 約32mm※ |
| 外幅 | 約38mm※ |
| 追加価格 | 200ドル |
45mmハイトは、グラベル用としては空力性能を強く意識した設定だ。舗装路や硬く締まった路面では高速巡航への効果が期待できる。
ただし、40~50mm幅のタイヤはリム外幅より大幅に広くなるため、ロード用ホイールのようにリムとタイヤを連続した翼断面として機能させることは難しい。それでも、ディープリムによるスポーク長の短縮やカーボンスポークとの組み合わせは、横剛性と応答性に寄与する可能性がある。
フックドリムは、タイヤ選択の自由度を確保しやすい点で実用的だ。ただし、対応タイヤと最大空気圧については、ホイールメーカーの指定を優先しなければならない。
標準ホイールとの重量差や空力差が示されていないため、性能向上の程度は断定できない。それでも、追加200ドルでこの仕様を選べるなら、完成車購入時のアップグレードとして検討価値は高い。
前後160mmローターと実車の擦れ
ブレーキはSRAM Rivalの油圧式で、ローター径は前後160mm。
160mmローターは140mmより制動トルクを得やすく、熱容量にも余裕がある。長い下り、体重のあるライダー、荷物を積載した走行には適した構成だ。
一方、今回の実車では後輪を空転させた際にローター擦れが確認された。また、140mm基準のキャリパーマウントと160mmローターの組み合わせについて、説明が分かりにくい点も指摘されている。
ローター擦れは、必ずしも設計上の問題ではない。以下のような原因でも発生する。
- 輸送時の軽微なローター変形
- スルーアクスルの締結状態
- キャリパーのセンターずれ
- パッド間隔
- ホイールの取付状態
納車後には、ローターの振れ、キャリパー位置、パッドとの隙間を確認したい。通信販売で完成車を購入する場合、こうした初期点検を自分で行うか、専門店へ依頼する費用も考慮すべきである。
38cmハンドルと115mmステムの狙い
実車のWinspace Hyper Barは、ブラケット部38cm、ドロップ部44cmのフレア形状。ステム長は115mmである。
ブラケット部を狭くすることで、肩と腕の開きを抑え、ライダーの前面投影面積を小さくできる。一方、ドロップ部を広げることで、荒れた下りでは操作幅を確保できる。
つまり、上側では空力、下側ではコントロール性を重視した構成だ。
115mmステムは、グラベル用としては比較的長い。高速域で前輪荷重を作りやすい反面、低速のタイトターンでは、短いステムを前提としたバイクとは操舵感が異なる。
ただし、ステム長だけでハンドリングを判断することはできない。フレームリーチ、ヘッド角、フォークオフセット、トレイル、ハンドルリーチを含めて評価する必要がある。
ポジションが確定しているライダーには一体型コックピットも選択肢になる。一方、購入後に細かく調整したい場合は、ハンドルとステムを分離した構成の方が扱いやすい。
サドルは重量よりフィットを優先
付属するSelle Italiaサドルは、軽量性を最優先したモデルではないものの、レビューでは快適性が高く評価されている。レール素材は、当初のクロモリという説明からマグネシウムへ訂正されている。
サドルは交換によって軽量化しやすいが、適合しているサドルを重量だけで外すのは合理的ではない。
グラベルでは路面からの入力が大きく、骨盤が安定しなければペダリング効率も低下する。数十グラムの軽量化より、坐骨幅、前傾時の支持、圧力分散を優先すべきだ。
フレーム内収納の実用性
ダウンチューブには、Fidlock式ラッチを使ったフレーム内収納があり、専用バッグも付属する。
チューブ、タイヤレバー、CO₂ボンベ、携帯工具などをフレーム内部へ収納できれば、サドルバッグを省略しやすい。外観を整えられるだけでなく、携行品を車体中央の低い位置へ収められる。
一方、長期使用では次の点を確認したい。
- 開口部の防水性
- ラッチの保持力
- 収納物による異音
- ダウンチューブ内部の排水性
- バッグの取り出しやすさ
- ボトルケージとの干渉
専用シートポストにはラバーシールが付属する。泥水対策としては有効だが、独自形状のシートポストは破損時の入手性が課題になる。交換部品の供給期間と価格も、購入前に確認したい項目だ。
納車後に行うべき点検と調整
G5の性能を引き出すためには、納車後の確認を段階的に行うとよい。
第1段階:安全点検
- スルーアクスルの締結
- ステム、ハンドル、シートポストの締付トルク
- ヘッドセットのガタ
- ローターの振れ
- キャリパーのセンター
- タイヤとリムの適合
第2段階:動作確認
- 変速調整
- AXSのファームウェア更新
- チェーン長
- チェーンリング歯数
- ブレーキパッドの当たり出し
- ホイールの振れとハブの回転
第3段階:走行性能の最適化
- チューブレス化
- 前後空気圧の調整
- サドル位置
- ブラケット角度
- ハンドル高
- タイヤ幅とクリアランスの測定
第4段階:必要に応じた交換
- 用途に合ったチェーンリング
- タイヤ
- クランク
- サドル
- パワーメーター
軽量化から始めるのではなく、安全性、ポジション、タイヤの順に調整した方が、実走性能への効果は大きい。
メリットと注意点
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 高速走行を意識したエアロ形状 | 空力性能の比較データは未確認 |
| ペダル込み8.88kg | 超軽量カテゴリーではない |
| 前58C・後53Cに対応 | 実測幅と動的クリアランスの確認が必要 |
| Rival XPLR AXSの1×13速 | 44×46Tは急勾配で重い可能性 |
| T47とUDHを採用 | 組付け精度や互換性の確認は必要 |
| フレーム内収納を装備 | 防水性や異音は長期検証が必要 |
| 注文時の寸法選択が豊富 | 選択前に適正ポジションを把握したい |
| ホイール変更が200ドル | 標準ホイールとの性能差は不明 |
| 2×用FD台座を備える | 最大歯数などの条件が不明確 |
| 高いセットアップ自由度 | 独自規格シートポストを使用 |
Winspace G5が向いているライダー
G5が適しているのは、舗装路を含む高速グラベルで平均速度を高く維持したいライダーだ。
40C前後のタイヤで速度を重視することも、50mmを超えるタイヤでグリップと快適性を高めることもできる。レース、ロングライド、軽量バイクパッキングを一台でカバーしたいユーザーとも相性がよい。
特に次の条件に当てはまるなら、有力な候補になる。
- 高速グラベルレースへ参加する
- 舗装路と未舗装路の両方を高いペースで走る
- 1×13速のシンプルな操作性を求める
- タイヤと空気圧を路面に合わせて変更できる
- 納車後の点検や調整を自分で行える
- 大手ブランド以外も含めて性能と価格を比較できる
一方、急勾配を含む重装備のバイクパッキングでは、44Tチェーンリングが重く感じられる可能性がある。販売店による組立調整や迅速な補修対応を最優先する場合も、購入経路とサポート体制を確認した方がよい。
まとめ|セットアップによって完成度が高まる一台
Winspace G5は、ロードバイクに近い高速巡航性能と、大容量タイヤによるグラベル走破性を両立させようとした意欲的なモデルだ。
実測8.88kg、前58C・後53Cのタイヤクリアランス、SRAM Rival XPLR AXS 13速、T47、UDH、フレーム内収納という構成は、現代の高速グラベルバイクに求められる要素を広く押さえている。
5,200ドルという価格は安くない。しかし、5,400ドルでGrypher 2.0ホイールを選択でき、ハンドル幅、ステム長、クランク長まで注文時に指定できることを考えると、完成車としての競争力は高い。
一方で、実車とスペック表で異なるチェーンリング歯数、最大チェーンリングの適合条件、不確かなリム寸法など、購入前に確認すべき情報もある。実車で発生していたローター擦れを含め、納車後の点検も必要だ。
したがってG5は、箱から出した状態を最終形とするバイクではない。タイヤ、空気圧、ギア比、ポジションを用途に合わせて詰めることで、本来の性能を発揮する一台である。
速さだけを追求したエアロロードでも、太いタイヤだけを特徴とするアドベンチャーバイクでもない。舗装路で速度を失わず、未舗装路ではライン選択の自由度を確保したい中級者・上級者にとって、Winspace G5は検討価値の高いエアログラベルバイクだ。


コメント