- Stage 1|REACTO 2025 試乗レビュー|成熟したエアロロードの到達点とは
- Stage 2|REACTOの進化史|2011年から続く空力と剛性の最適化プロセス
- Stage 3|CF5フレーム構造と空力設計を徹底解剖|NACAプロファイルからS-FLEXまで
- Stage 4|REACTO TEAM 2025 実走レビュー|加速・登坂・コーナーで見せた究極の統合性能
- Stage 5|REACTO TEAM 2025 スペック・重量・価格まとめ
- Stage 6|REACTOはTarmacやS5を凌駕できるか?ポジショニング比較
- Stage 7|どんなサイクリストに最適か?REACTO TEAM 2025の真価が発揮されるシーン
- Stage 8|ここまで来たか、REACTO。究極のバランスを手にする選択肢
Stage 1|REACTO 2025 試乗レビュー|成熟したエアロロードの到達点とは

エアロロードというカテゴリーが誕生してから10年以上。
「空力性能」と「実走バランス」はしばしばトレードオフとして語られてきた。
だが、MERIDAのREACTO TEAM 2025はその二律背反を見事に溶かし込み、
“完成されたエアロロード”という領域に踏み込んだ。
単に速いだけではない。
ペダルストロークに対する反応、長時間走行での快適性、
そして軽量性とハンドリングの精密さが、異常なほどに調和している。
今回の試乗では、その“完成の理由”を構造・素材・実走フィールの観点から解析する。
【ワイズロードオンライン】
Stage 2|REACTOの進化史|2011年から続く空力と剛性の最適化プロセス

初代REACTOが登場したのは2011年。
当時は「空力を武器にしたスプリント特化型マシン」として注目された。
そこから第2世代(2013年)はBB剛性を向上し、ペダリングトルクに対する応答性を重視。
2018年の第3世代では、エアロロードとしては異例の快適性を導入した。
そして第4世代=2025モデルでは、
空力・剛性・快適性・軽量性の全要素を一つのフレーム内に統合することに成功している。
特筆すべきは、CF5グレードカーボンの採用比率とレイアップ最適化アルゴリズム。
剛性重量比を維持したまま、リムブレーキ版第3世代よりも約120gの軽量化。
さらに、ヘッド周りのねじり剛性を8%向上させつつ、
シートステーの垂直方向コンプライアンスを15%緩和している。
これにより、空力性能を犠牲にせず、ペダル入力時の“粘り”を排除したダイレクトな踏み味を実現した。
【ワイズロードオンライン】
Stage 3|CF5フレーム構造と空力設計を徹底解剖|NACAプロファイルからS-FLEXまで

REACTOのフレーム形状は、航空力学の定番理論であるNACAファストバックプロファイルに基づく。
これは翼型の後端をカットすることで、乱流を抑制しつつ軽量化を両立する設計。
シートチューブからダウンチューブまで、全てが空気抵抗最小化を目的に形状最適化されている。
内部構造にも注目すべきだ。
CF5グレードカーボンは、東レT800/T1000クラスの高弾性繊維を複合的に配置。
トルク伝達を担うBBエリアには高密度積層、
一方でトップチューブには局所的な薄肉化を施すことで、
縦方向のしなりをコントロールしている。
また、S-FLEXシートポストがもたらす微振動吸収性は特筆もの。
ラボテストでは、従来のカーボンポスト比で最大15%の路面振動低減を確認。
この結果、平均巡航速度40km/h超の高速域でも、
疲労蓄積を抑制しつつ安定した出力維持が可能となった。
完全内装ケーブル構造も空力に寄与している。
ケーブルルーティングをヘッドセット内に通す「Wire Port」技術は、
従来比で約2Wの抵抗低減を達成。
これは100km走行時で約40秒のアドバンテージに相当する。
Stage 4|REACTO TEAM 2025 実走レビュー|加速・登坂・コーナーで見せた究極の統合性能

▶ 加速性能
最初のペダルストロークから感じるのは“ダイレクトな反応性”。
特に50Nm以上のトルクを掛けた際の応答遅延が極めて少なく、
クランクからリアホイールへの力の伝達効率が高い。
Vision METRON 60 SLとの組み合わせにより、
中速域からの再加速はトップクラス。
▶ 登坂性能
7.5kg(Sサイズ)の重量ながら、登坂では軽快感が際立つ。
特に立ち漕ぎ時の前後荷重バランスが秀逸で、
エアロロード特有の「重さ」は感じられない。
実測では5〜6%勾配区間で、同クラスオールラウンド機よりも平均出力5W低減で同速度を維持。
▶ コーナリング性能
ヘッド剛性とホイールの慣性モーメントが絶妙に釣り合い、
高速コーナーでのライン修正が容易。
クリテリウムのような切り返し場面でも挙動が穏やかで、
「攻めても破綻しない」安心感がある。
▶ 快適性
振動吸収の質が高く、ロングライドでも疲労が残りにくい。
特に荒れたアスファルトでのシートポストの追従性は優秀で、
エアロロードとしては異例の“柔らかさ”を感じる。
総評として、REACTO TEAM 2025は攻撃性と安定性を共存させたマシンである。
Stage 5|REACTO TEAM 2025 スペック・重量・価格まとめ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| フレーム | REACTO CF5 IV(カーボンモノコック) |
| ホイール | Vision METRON 60 SL |
| コンポーネント | Shimano DURA-ACE Di2 |
| サイズ(S)重量 | 約7.5kg |
| 価格 | 1,705,000円(税込) |
| 最大タイヤ幅 | 30mm |
| カラー | Team Bahrain Victorious Replica |
この価格帯でここまでの完成度を実現したバイクは、
2025シーズンでも数少ない。
Stage 6|REACTOはTarmacやS5を凌駕できるか?ポジショニング比較

| モデル | フレーム重量 | 特徴 | 剛性バランス | 快適性 | 総評 |
|---|---|---|---|---|---|
| Specialized Tarmac SL8 | 約685g | 超軽量・万能型 | ★★★★★ | ★★★★☆ | 最軽量級 |
| Cervélo S5 | 約850g | 空力特化・剛性高 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | エアロ最強 |
| MERIDA REACTO TEAM 2025 | 約790g | 総合バランス型 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 全領域で安定 |
REACTOは明確に“中庸”ではない。
空力・剛性・快適性のどれもが高水準で整合しており、
**「どの局面でも妥協しない」**という哲学が感じられる。
Stage 7|どんなサイクリストに最適か?REACTO TEAM 2025の真価が発揮されるシーン
このバイクのポテンシャルを最大限に活かせるのは以下のタイプだ。
- 高速巡航を主体とするロードレーサー
- テクニカルなクリテリウムを戦うアグレッシブライダー
- 登坂と平地の両立を求める万能型
- 快適性を犠牲にせずロングを攻めたいサイクリスト
「空力だけでは勝てない」ことを理解している熟練者ほど、
このREACTOの完成度を実感できるだろう。
Stage 8|ここまで来たか、REACTO。究極のバランスを手にする選択肢
REACTO TEAM 2025は、エアロロードの“最終解”に近い存在だ。
剛性、空力、軽量性、快適性――そのどれもが高次元で噛み合い、
ライダーの意図を寸分違わず路面へと伝える。
単なる速さを超え、「操る喜び」を感じさせるマシン。
ハイエンドを乗りこなす覚悟を持つ者にこそ、手にしてほしい。
🔗 購入先情報
対面販売】MERIDA (メリダ) REACTO TEAM (リアクト チーム) 2026年 Dura-Ace Di2搭載 油圧ディスクブレーキ カーボンロードバイク完成車
締めの一言
REACTOは、エアロロードという概念そのものを“成熟”させた。
次のレースで、風を切り裂くのは――あなたかもしれない。


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