― データが映す“勝利の構造”と今後の分析課題 ―
■ 冒頭 ― この動画から始まった分析
まずはこの動画を見てほしい。
👉 【UCI WorldTour 2025】機材別ポイントランキング解説(YouTube)
大変、興味深い内容だ。
ロードレースを“機材の貢献度”という視点から解析しており、単なる勝利数やブランド人気ではなく、「UCIポイント」という客観的データで勝利の構造を浮き彫りにしている。
この動画を見て、「これはもっと深く掘り下げる価値がある」と感じた。
だからこの記事を書くことにした。
みんなにもぜひ見てほしい。
そして――この内容を、もっとわかりやすく、データと構造で伝えるぞ。
「勝ったバイクが一番速い」――そう言い切るには、レースはあまりにも複雑だ。
だからこそ、データが語る“勝利の真実”を見ていこう。
【ワイズロードオンライン】
■ 集計ルール ― データの信頼性を担保するために

今回のランキングは、UCI公式ポイントをベースにした。
ただし、単純な合算ではなく、以下の基準を設けている。
- 対象レース:ワールドツアー主要ロードレース(TTや副分類を除外)
- 計算単位:チーム所属バイク × 選手 × レース結果のポイント
- モデル統合:世代更新(例:S5旧型/新型)は名称統合
- 除外項目:TTバイク、トラック、CX、MTBカテゴリ
公平性を保つため、あくまで「ロードレースでの勝利貢献度」を抽出した。
また、各チームの参戦数差を考慮し、ポイント/出走数比でもトレンドを補正している。
■ 勝利の地図を俯瞰する ― トップ10の構造

ランキング上位を見れば、レースの“勝ち筋”が見えてくる。
2025シーズンのデータでは、Colnago、Cervélo、Trek、Canyonが明確なリーダー群を形成した。
| 順位 | ブランド | 主力モデル | UCIポイント(概算) | 主なチーム |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | Colnago | V4RS / Y1 RS | 約11,500pt | UAE Team Emirates |
| 2位 | Cervélo | S5 / R5 | 約10,800pt | Jumbo–Visma |
| 3位 | Trek | Madone SLR / Émonda | 約9,700pt | Lidl–Trek |
| 4位 | Canyon | Aeroad CFR | 約9,200pt | Alpecin–Deceuninck |
| 5位 | Specialized | Tarmac SL8 / Aethos | 約8,800pt | Soudal–QuickStep |
| 6〜10位 | Merida, Factor, Bianchi, Scott, Wilier | — | — | — |
注目すべきは、Colnago Y1 RSが個別モデル単位でも首位を獲得したこと。
特に**UAEエミレーツのポイント全体の約42%**をこのバイクが稼いでいる。
同様に、Cervélo S5は統合モデルながら実質単独で最も高い勝率を記録。
この2強は、スプリントとクライムの両面で結果を残した“総合型バイク”として特筆に値する。
一方で、CubeやBianchiといったブランドは参戦数の少なさから苦戦。
中堅のMeridaやFactorは着実にポイントを伸ばし、来季に期待を持たせる動きを見せている。
■ 勝利の構造を読み解く ― 何が差を生んだのか?

「勝てる機材」と「勝てない機材」を分けた要因は、決して単一ではない。
だがデータを精査すると、いくつかの構造的特徴が浮かび上がる。
- チーム戦力の差
強豪チームほど、明確な“機材信頼度”を持つ。
UAE、Jumbo、Lidl–Trekといったチームは、同一モデルを年間通して使用する傾向が強い。
これは、セッティング最適化とデータ蓄積の優位性につながっている。 - レース特性への適応力
Cervélo S5やMadone SLRのような“エアロ・ハイブリッド”は、平坦でも登りでも平均速度を維持。
一方で軽量バイク偏重のチームは、クラシックレースでは苦戦する傾向が見られた。 - 高配点レース集中
Colnagoの上位維持は、ツールやモニュメントなど高配点レースへの集中投入によるもの。
一方、総出走数ではCanyonやSpecializedが上回るものの、勝率効率では劣る。
「勝つ機材」とは、“チームが勝つために設計されたバイク”である。
その事実が、このランキングから明確に読み取れる。
■ 今後の課題 ― 真にフェアな比較へ
現状の分析では、まだ「チーム戦力」の要素を完全に排除できていない。
次回分析では以下の改良を導入予定だ。
- 表彰台・TT・総合順位への加重反映
- モデル世代の明確な区分(例:S5 Gen5 vs Gen6)
- チーム戦力指数(Team Power Index)による正規化
これにより、「どのバイクがどんな条件で勝ったのか」をより明確にし、機材そのものの貢献度を定量化していく。
■ 結論 ― データが描く“勝利の地図”
今回のランキングは、単に「どのブランドが強かったか」を示すものではない。
むしろ、勝利とは何かを再定義するための地図だ。
ColnagoとCervéloが並び立つのは偶然ではなく、
“チームが機材にどれだけ信頼を置いているか”という設計思想の証明でもある。
「このランキングは、性能の断定ではなく、勝利の構造を映したスナップショットである。」
■ サイクリストへの問いかけ ― あなたのバイクはどこに位置する?
あなたのバイクブランドは、どの位置にいたか?
そして来季、その順位はどう変わるのか?
機材はただの道具ではなく、勝利のシステムの一部だ。
データの中にあるその“構造”を知れば、あなた自身の走りにも新たな視点が生まれるはずだ。
「次のシーズン、数字がどんな物語を描くのか――一緒に見届けよう。」
文:万次郎
勝者たちが選んだマシン ― 購入先ガイド
UCIワールドツアーで上位を席巻したロードバイクたちは、単なる“機材”ではなく、チームの哲学と勝利の象徴だ。
ここでは、今回ランキングで紹介した主なバイクの正規購入先や国内代理店情報をまとめた。
実際に手に入れる際の参考にしてほしい。
■ LOOK 795 BLADE 2 RS
- 購入先: LOOK公式オンラインストア / 国内販売代理店:株式会社マリン商会
- ポイント: フランスの名門が誇る最新エアロロード。美しさと剛性の両立を求めるライダーに。
- 価格帯: 約130万円〜(フレームセット)
LOOK ( ルック ) ロードフレーム 795 BLADE 2 RS DISC F/S ( 795 ブレード 2 RS ディスク フレームセット ) アイコニック/プラチナムホワイト S ( 身長目安170cm前後 )
■ PINARELLO DOGMA F
- 購入先: PINARELLO JAPAN公式サイト / 正規取扱店:Y’s Road、なるしまフレンドほか
- ポイント: INEOS Grenadiersが駆る、完成度の極致。加速・剛性・エアロの三拍子を極めた一台。
- 価格帯: 約160万円〜(フレームセット)
PINARELLO ( ピナレロ ) ロードフレーム DOGMA X ( ドグマ エックス ) フレームセット E201 / XOLAR BLUE ( ブルー ) 50 (適正身長目安170cm前後) 購入先はワイズ↓
■ TREK MADONE SLR 9
- 購入先: TREK公式ストア / 全国のTREK直営店
- ポイント: “IsoFlowテクノロジー”が生む空力性能と快適性の融合。まさに現代エアロロードの完成形。
- 価格帯: 約150万円〜(完成車)
■ SPECIALIZED TARMAC SL8
- 購入先: SPECIALIZED公式サイト / SBCU認定ディーラー
- ポイント: “世界最速”を標榜する軽量エアロ。多くのUCIチームが採用する理由がここにある。
- 価格帯: 約110万円〜(フレームセット)
■ CANYON AERORAD CF SLX 8
- 購入先: CANYON公式サイト(直販)
- ポイント: ドイツ直販ブランドの代表格。圧倒的コストパフォーマンスでワールドツアーでも存在感を示す。
- 価格帯: 約85万円〜(完成車)
■ BMC TEAMMACHINE SLR01
- 購入先: BMC JAPAN公式サイト / 取扱店:カンザキ阪急千里山、ワイズロードなど
- ポイント: 登りと平地のどちらも妥協しない万能フレーム。UAEチームエミレーツの愛機。
- 価格帯: 約120万円〜(フレームセット)
BMC ( ビーエムシー ) ロードバイク TEAMMACHINE ( チームマシン ) SLR01 FIVE Ultegra Di2 アイアングレー/ブラック 51 ( 適応身長目安 166-174cm )
■ COLNAGO V4RS
- 購入先: COLNAGO JAPAN公式サイト
- ポイント: タディ・ポガチャルが駆る伝説の血統。極限の軽さと操作性を追求したイタリアンハイエンド。
- 価格帯: 約140万円〜(フレームセット)
COLNAGO ( コルナゴ ) ロードバイク V4-RS TDF マイヨ・ジョーヌカラー ( レプリカ ) 510 (身長目安175-185cm前後)
💡補足メモ
価格は為替や仕様により変動する。購入の際は、正規代理店を通じて保証やアフターサポートを確認することを強くおすすめする。



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