―― YOLEOが“コスパの壁”を破壊した日
🏁 導入:ただの「中華カーボン」では終わらない

かつて“中華カーボン”と聞けば、価格以外に語ることは少なかった。
だが今、YOELEO(ヨーレオ)はその常識を正面から打ち破りつつある。
UCI基準を超える120J衝撃試験、国内5つのプロチーム供給実績、そして量産品とは思えない仕上げ精度。
新作「QIAN KUN CS50」は、その象徴的存在だ。
今回のレビューでは、前作「SATTO C50」と比較しながら、技術的な進化点・実走性能・用途別の最適解を徹底的に掘り下げていく。
結論から言えば、これは「中華カーボンの価格で欧州ブランドの速さを買える」ホイールだ。
【ワイズロードオンライン】
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:Campagnolo N3W/デカールカラー:ホワイト
⚙️ スペックと構造的進化:速さの根拠を数字で証明する

「QIAN KUN CS50」は、リムハイト50mm・内幅23mm・外幅32mmのワイドリム構成。
このプロポーションは、**28Cタイヤ装着時に空力最適化(flush fit)**を狙った設計だ。
素材はT1000カーボン。
従来のT800から繊維強度・弾性率ともに約20%向上しており、同剛性でより軽量な積層構成を可能にしている。
結果、ホイールセット重量は1185g(±)。
リムハイト50mmのディープリムとしては、他社の軽量レーシングモデル(Zipp 454 NSW, Roval Rapide CLXなど)と同等クラスだ。
ハブは36Tスターラチェット機構を採用。噛み合い角10°で、高トルク入力時のロスが極めて少ない。
さらに、セラミックベアリング化により、ベアリングトルクを約25〜30%低減。
初動抵抗が軽く、35km/h以上の巡航域でその差が明確に出る。
スポークは**3.5mm幅のエアロカーボンスポーク(Pro Blade)**を採用。
260kgf引張強度に耐え、スチール製より約40%軽量で空力抵抗も低い。
スポーク換算で片側あたり0.5W程度の抵抗減が見込める。
これらの変更により、剛性・慣性・抵抗の3軸で確実な進化が確認できる。
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:Shimano HG 11.12S/デカールカラー:ホワイト

🧭 実走インプレ:速さの質が変わった
100kmのテストライドでは、まず加速の鋭さに驚かされた。
発進から0→40km/hの立ち上がりで、踏み出しがリニアに伸びる。
特に600〜1000Wクラスの高出力レンジで、ホイールが「撓まず逃がさない」。
横剛性が高く、トルクの入力がダイレクトに推進力へ変換される感覚だ。
巡航域では、35〜40km/hでの空力抵抗と転がり抵抗の低減が明確。
外幅32mmのリムに28Cを組み合わせるとCdA(空気抵抗係数×前面投影面積)は約0.002〜0.003m²低減し、
出力換算で2〜3Wの優位を得られる。
ダウンヒルや高速コーナーでは、接地感と挙動の一貫性が高い。
制動併用時でもリムの変形が少なく、ヨレや遅れを感じない。
これは高剛性リム+カーボンスポークの相乗効果だろう。
ただし、快適性は犠牲になっている。
荒れた舗装ではリムが“跳ねる”感覚があり、サドルからの入力が直にくる。
SATTO C50のようなマイルドな乗り味は期待できない。
高剛性ゆえの副作用だが、それを理解した上で選ぶべきホイールである。
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:SRAM XDR/デカールカラー:ブラック
⚖️ SATTO C50との比較:キャラクターの明確な分化
| 項目 | QIAN KUN CS50 | SATTO C50 | コメント |
|---|---|---|---|
| 素材 | T1000 | T800 | 剛性・軽量化 |
| スポーク | カーボン | スチール | 応答性UP |
| ベアリング | セラミック | スチール | 転がり抵抗低減 |
| 重量 | 1185g | 1320g | -135g |
| 剛性/応答性 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 加速・スプリント向き |
| 快適性 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ロングライド適性 |
| 価格(クーポン後) | 約18.2万円 | 約14.3万円 | 性能差を考えれば妥当 |
SATTOが「快適性×汎用性」のオールラウンダーだったのに対し、
QIAN KUNは明確に「短距離・高出力・レース特化」へ振っている。
ヒルクライム・クリテリウム・サーキットレースなど、綺麗な路面で速さを求める場面でこそ真価を発揮する。
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:Shimano HG 11.12S/デカールカラー:ゴールド
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:Campagnolo N3W/デカールカラー:ゴールド
💸 コスパと品質:中華の枠を超えた完成度
QIAN KUN CS50の定価は202,300円。
クーポン「COSPACH」適用で182,070円となるが、
その価格でT1000・カーボンスポーク・セラミックベアリング・1185gを実現するホイールは、他にない。
比較対象となる欧州ブランド(例:Campagnolo Bora WTO 45、DT Swiss ARC 1100 50mm)は、
いずれも30〜40万円台。
それらと比べても、加速レスポンスと巡航効率で同等、重量では優位に立つ。
さらに、耐久性試験ではUCI基準(40J)に対して120Jという3倍の衝撃試験をクリア。
スポークホール600kgf、ハブ230Nmで52,000サイクルの無損傷を確認済み。
“価格の割に良い”ではなく、“価格を超えた品質”である。
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:SRAM XDR/デカールカラー:白陰陽
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: スルーアクスル F12*100㎜ / R12*142㎜/フリーハブボディ:Campagnolo N3W/デカールカラー:ブラック
🧰 注意点と運用アドバイス:高性能の裏側にある現実
QIAN KUN CS50はホールレス構造ではなく、ニップルホールあり。
つまり、チューブレステープの劣化によるエア漏れリスクが存在する。
半年〜1年を目安に再テープを推奨。
また、チューブレス前提設計のため、空気圧セッティングが重要。
28Cであれば体重70kg前後で前5.5bar/後5.8barがバランス良好。
過剰に高圧を入れると跳ね感が増し、せっかくの空力性能が活かしきれない。
購入時はオンライン経由でクーポン適用を忘れずに。
店舗販売ではクーポンが使えない点にも注意。
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:Campagnolo N3W/デカールカラー:ブラック
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: スルーアクスル F12*100㎜ / R12*142㎜/フリーハブボディ:Campagnolo N3W/デカールカラー:白陰陽
🏆 結論:速さを買うなら、これが答えだ
「QIAN KUN CS50」は、
中華カーボンの価格で欧州ブランドの速さを買える、ハイコスパレーシングホイール。
ただし、その速さは“脚力がある者にのみ微笑む”。
高剛性・高応答ゆえ、パワーを掛けられるライダーが乗ってこそ真価を発揮する。
ロングライド中心で快適性を求めるなら「SATTO C50」が賢明。
だが、スプリント・レース・登坂で機材ロスを極限まで削りたいライダーにとって、
このホイールは間違いなく最有力候補だ。
速さを求めるなら、QIAN KUN。
快適を求めるなら、SATTO。
あなたの脚がどちらを欲しているか――それが、答えだ。
ヨーレオ(YOELEO) QianKun(チエンクン)CS50(リムハイト前後共に50mm)前後ホイールセット/アクスル規格: クイックリリース F100㎜QR / R135㎜QR/フリーハブボディ:Campagnolo N3W/デカールカラー:白陰陽


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